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上出 英樹
火力原子力発電, 71(11), p.638 - 648, 2020/11
次世代原子炉の開発動向について、原子力機構が開発を進めるナトリウム冷却高速炉を中心に、日本の開発方針、SMRを含む世界の開発状況、原子力機構における技術開発の進展を解説する。
飛田 健次
火力原子力発電, 61(10), p.1026 - 1031, 2010/10
2000年以降の我が国における核融合炉研究の概要と進展をまとめた。現在の核融合開発において中核を担う装置はITERである。炉心プラズマの研究ではITERの運転に見通しをつける研究がJT-60で精力的に実施された。その一例が、高いベータ値を長時間維持する研究であり、ITERの標準運転で必要な値(約2)を上回る規格化ベータ値2.5を約30秒間持続することに成功した。工学技術の研究開発では、ITERへの調達のため工学関連機器の開発と製作が進行中である。特に、超伝導コイルでの開発では、50MN/mにも及ぶ強大な電磁力に耐え1個あたりの重量が約300トンという大規模コイルの製作に関連する幾つかの課題を克服し、所定の精度を満たしつつ工程内で機器製作を実施できる見通しを得た。また、プラズマ加熱・電流駆動のための170GHz高周波源の開発では、高効率発振領域に安定移行する発振技術の開拓により、ITERの要求値を上回る出力1MW,効率55%, 800秒間の発振を世界に先駆けて達成した。ITER計画と合わせて、幅広いアプローチ計画が進行中であり、その概要を解説する。
日野 竜太郎; 小川 益郎
火力原子力発電, 61(10), p.1032 - 1037, 2010/10
原子力エネルギー利用の多様化を図り、地球温暖化ガスを削減するうえで、最高950Cの高温熱を取り出して発電のみならず水素製造等を行える高温ガス炉は極めて魅力的な原子炉システムである。本報では、高温ガス炉の優れた特長と世界の動向、世界をリードする日本の高温ガス炉開発の中核である日本原子力研究開発機構における研究開発の概要を紹介する。研究開発では、高温工学試験研究炉HTTRによる安全性実証や高温連続運転で得られた最近の成果について述べ、HTTR試験成果をベースにして実施した商用ガスタービン発電システム及び水素製造/発電を行うコジェネレーションシステムの設計、さらに、今後の展開を含めた将来展望について紹介する。
菖蒲 信博
火力原子力発電, 60(4), p.339 - 344, 2009/04
核燃料サイクル工学研究所の7ヵ年のリスクコミュニケーション活動事例をもとに、リスクコミュニケーションの具体的な手法・展開について紹介し、地域でこれを定着するための将来的な方向性について提言する。
大澤 英昭; 梅木 博之; 牧野 仁史; 高瀬 博康*; McKinley, I. G.*; 大久保 博生*
火力原子力発電, 59(6), p.512 - 519, 2008/06
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する実際的な課題として、地層処分技術に関する知識の爆発的な増加が挙げられる。この課題に対応するためには、知識マネジメントの基本概念を取り入れ、長期に渡る地層処分事業において知識を伝承していくことが必要である。そのため、日本原子力研究開発機構では、最新の情報工学及び知識工学の技術を最大限に活用した次世代型の知識マネジメントシステムの開発を進めている。本稿では、地層処分分野における知識マネジメントの必要性を概観し、知識マネジメントシステムの開発の基本的な考え方と設計のアプローチを示す。
林 巧; 小林 和容; 山西 敏彦; 一政 祐輔*; 一政 満子*
火力原子力発電, 59(4), p.316 - 321, 2008/04
日本原子力研究開発機構は、核融合炉の安全性の向上をめざし、燃料となるトリチウムが万一建家内に漏れた場合の効率的除去技術の研究をすすめてきた。近年、茨城大学との共同研究の下、高温貴金属触媒酸化を用いた従来技術に替わる新しい方法として、環境中の水素ガスを常温で酸化する微生物を利用してトリチウムを酸化し効率的に除去する技術を開発した。
佐藤 浩司
火力原子力発電, 58(10), p.1011 - 1028, 2007/10
我が国における高速増殖炉技術の研究開発の経緯と現状,今後の計画について、関連サイクル及び国際動向・国際協力を含めて紹介する。
小川 益郎; 日野 竜太郎; 國富 一彦; 佐藤 博之
火力原子力発電, 58(10), p.1029 - 1037, 2007/10
高温ガス炉は原子力エネルギーの利用分野拡大のための最適な炉である。本報では、高温ガス炉の特長である、多様な産業への熱利用,高い熱効率,高燃焼度及び高い固有の安全性を述べるとともに、日本及び世界各国における高温ガス炉開発の現状を報告する。
二宮 博正
火力原子力発電, 58(10), p.1038 - 1046, 2007/10
核融合研究開発の現状と今後の展開について解説する。はじめに炉心プラズマ研究の基礎から最近の成果について述べ、次に日,欧,米,ロシア,中,韓,インドの7極で建設が進められているITER計画について、その概要及び装置と主要技術の現状について述べる。最後に、日欧で進めることが決定した幅広いアプローチ活動の3つのプロジェクトの概要を紹介している。
塩沢 周策; 小川 益郎; 日野 竜太郎; 小貫 薫; 坂場 成昭
火力原子力発電, 57(1), p.7 - 12, 2006/01
日本原子力研究開発機構が開発を進めている高温ガス炉を利用する水素製造に関し、環境・エネルギー問題と高温ガス炉水素製造の必要性,水素製造の現状と将来技術,高温ガス炉の構造と特徴,高温工学試験研究炉計画,水素製造に関する研究開発,高温ガス炉の導入及び長期的展望について解説する。
二宮 博正; 小西 哲之
火力原子力発電, 52(10), p.149 - 155, 2001/10
発電技術の将来展望・先進発電方式の一つとして、核融合の現状と今後の展開についてまとめた。初めにトカマク炉心プラズマ研究と炉工学技術の現状と最近の成果を示し、次に、国際熱核融合実験炉(ITER)計画について述べる。また、ブランケットの原理・構造を中心に核融合発電炉の概念について紹介するとともに、動力炉に向けた課題を示す。
武藤 康; 國富 一彦
火力原子力発電, 52(10), p.1279 - 1286, 2001/10
発電技術の将来展望として、高温ガス炉ガスタービン発電システムに関する研究開発の動向,技術的成立性と開発課題,安全性と運転特性,核燃料の有効利用と放射性廃棄物低減,経済性及び将来展望につき解説した。技術的成立性に関しては、ブロック型高温ガス炉が大容量化し易い点でペブル型よりも優れていること、ガスタービンシステムの選択肢(インテグラル型と分離型,立置きと横置き,単軸と多軸)にかかわる技術課題と選定結果につき記した。核燃料の有効利用と放射性廃棄物低減に関しては、軽水炉に比べて高燃焼度を達成できることと高い熱効率のために、非常に有利な特性が得られることを解説した。経済性については高温発電における算定結果に基づき、経済性においても軽水炉よりも優れていることを述べた。最後に将来展望として熱効率向上の可能性と国際協力の重要性につき記した。
田中 利幸; 武藤 康
火力原子力発電, 51(10), p.318 - 323, 2000/10
最近50年間における高温ガス炉の発電利用分野における開発の経過を記す。高温ガス炉ガスタービンの開発が1960年代に始まり、一たん凍結された後、近年再開されるに至った経緯、各国の現状、高温ガス炉の特徴、OGL-1ループ,HENDEL,HTTRの経緯、高温ガス炉ガスタービンの特徴、プラント設計例、研究開発の現状について記す。さらに、将来展望として、開発試験のあり方、経済性の見通し、高性能化の可能性について記した。
武藤 康; 宮本 喜晟; 田中 利幸
火力原子力発電, 50(9), p.1123 - 1130, 1999/09
高温ガス炉に閉サイクルガスタービンを接続することにより、高効率の原子力発電所になると期待できる。それゆえ、本プラントは地球温暖化問題を解決する有効な手段であり、科学技術庁の予算により原研においてフィージビリティスタディが開始された。本プラントの備える特徴、本スタディの成果である600Mwtプラントの設計及び試作した細密プレートフィン型再生熱交換器モデルの内容、将来の高性能化の可能性(原子炉出力ガス温度の上昇、高温FPフィルター、原子炉圧力容器温度、セラミックヘリウムガスタービン)、回転数を3倍にすることにより出力を1/20にするタービンの開発試験方法について述べる。
二宮 博正
火力原子力発電, 49(505), p.200 - 205, 1998/10
トカマクを中心として、世界の炉心プラズマ研究及び炉工学研究の現状を紹介する。特に、最近の成果について具体的に示し、その位置付けを述べている。またこれらの成果の下に進められている国際熱核融合実験炉(ITER)計画の概要及び装置の概要について紹介し、併せて原型炉への取組みの現状について述べている。
打越 忠昭; 立花 光夫; 志賀 重範*; 竹之内 剛蔵*
火力原子力発電, 43(11), p.1427 - 1434, 1992/11
原研JPDRでは、将来の実用発電炉の廃止措置に備えて、解体に必要となる技術の開発とJPDR原子炉施設を解体する解体実地試験を進めている。解体実地試験では現在までに、炉内構造物、原子炉圧力容器の解体撤去を完了し、放射線しゃへい体の解体撤去を実施中である。このうち原子炉圧力容器胴部の解体には、遠隔水中切断技術の1つであるアークソー切断技術が適用された。アークソー切断技術については、解体実地試験に先立ち昭和57年度より開発を始め、フルスケールのモックアップ試験を経て、平成元年~2年度にかけてJPDRの原子炉圧力容器胴部の解体撤去に適用した。本論文は、アークソー切断装置による原子炉圧力容器の解体実地試験について記述したものであり、このJPDRでの成功が原子炉の将来の課題である廃炉技術の開発に有益な成果になることを期待するものである。
河西 善充; 小杉 敏夫; 岸和田 勝実
火力原子力発電, 116 Pages, 1990/00
本資料は、火力原子力発電技術協会誌「火力原子力発電」(平成2年3月号)の"やさしい原子力原産"のシリ-ズにATRとFBRの解説記事として載せるものである。この資料として、ATR, FBRについて、その特徴を示し、開発のねらい、意義、計画及びプラント概要を説明した。具体的なプラント例としては、ATRはふげん、FBRはもんじゅをとりあげ、その構成、系統、機器について説明した。なお、説明内容は動燃技報、動燃二十年史の公開資料に記載された範囲内としている。
鎌田 裕; 金沢 勝雄; 佐藤 邦雄; 本間 隆
火力原子力発電, 35(2), p.111 - 121, 1984/00
過去の軽水炉の運転経験から明らかな通り、原子炉の運転に伴って原子炉圧力容器に生ずる欠陥の大部分は内表面のオーステナイトステンレス肉盛溶接部に生ずるクラックである。ISIではこれらのクラックの検出は超音波法で行われているが、クラックか否か判断に迷うケースが生じ易く、またクラックを検出した方法でクラック深さを評価しようとすると精度が良くないという難点がある。これらの難点を軽減させる方法として、PWRを対象とし、渦電流法の併用を考え、渦電流法の適用性に関する確認試験、並びにクラック深さの各種評価法の相互比較試験をJPDR圧力容器の自然クラック等を利用して実施した。その結果、渦電流法は原子炉圧力容器の内表面クラックの検出に使用できることが確認できた。また、クラックの深さ評価では回折波を捕らえる超音波法及び渦電流法が精度良好であった。
二村 嘉明; 鎌田 裕; 本間 隆
火力原子力発電, 30(12), p.1312 - 1318, 1979/00
JPDRプラントでのISIの経験並びに若干の探傷実験をもとにISIでの配管探傷法の進め方について検討し、その考え方をまとめた。主な主張は次の通りである。(1)円周方向に走る内外表面割れの検出を主体とした検査を行なうべきである。(2)対比試験片の人工欠陥はドリル横穴よりもスリットを用いるべきである。(3)探触子は最適のものを十分に吟味し選択すべきである。超小型探触子を用いる場合、接触面の曲面加工は必要でない。(4)ISI毎のエコー変化から割れの存否を確認することは、かなり困難であり、探傷方法を変えて、エコーの変化から割れの存否判断をすることが必要である。(5)ISIの結果、インディケーションが得られ、その処理に迷う場合、電気抵抗法による割れ進度モニター、又はテープ状局部漏洩検出器の採用も考えられる。